コロナ禍をきっかけに広がったテレワークは、2025年現在も多くの企業で継続されています。通勤時間の削減、柔軟な働き方、ワークライフバランスの改善など、テレワークは従業員に多大なメリットをもたらしてきました。
しかしその一方で、健康面におけるリスクも表面化しています。オフィス勤務であれば自然と担保されていた活動量や生活リズムが、自宅勤務になると崩れやすくなるからです。企業にとって「在宅勤務者の健康支援」は、もはや個人任せではなく、組織の責任として考えるべき課題となっています。
在宅勤務者に多い健康トラブル
テレワークの現場では、次のような健康上の問題が多く報告されています。
- 運動不足による体重増加・生活習慣病リスク:通勤がなくなり、一日の歩数が極端に減少。さらに間食の増加や不規則な食事により、肥満や高血圧リスクが上がるケースが目立ちます。
- 長時間労働による疲労の蓄積:在宅では「仕事の区切り」が曖昧になり、つい夜遅くまで業務を続けてしまうことも。慢性的な疲労感や睡眠不足につながります。
- 食生活の乱れ:コンビニ・デリバリーに頼る頻度が増え、栄養バランスが偏る傾向が見られます。特に野菜や果物の摂取不足は、集中力低下や免疫力低下を招きやすい要因です。
- メンタルヘルス不調:孤独感、オンオフの曖昧さ、家事・子育てとの両立による負担などがストレス要因となり、心身に影響を与えています。
こうした課題は、放置すれば従業員の生産性低下や医療費増加、離職率上昇といった経営リスクに直結します。
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「在宅健康経営」が求められる理由
健康経営は、経済産業省が推進する「健康経営優良法人」認定制度などによって広く浸透してきました。しかし従来は、健康診断やオフィス環境改善といった「出社前提」の取り組みが中心でした。
いま必要とされているのは、テレワーク環境に合わせた「在宅健康経営」です。従業員の大半が自宅で働く状況では、企業が積極的に仕組みを提供しなければ、健康格差が広がってしまいます。
在宅健康経営の実践は、単なる福利厚生ではなく「組織の持続性を高める投資」です。健康的な従業員は集中力が高まり、生産性やエンゲージメントも向上します。結果的に企業のブランド力強化や採用力アップにもつながるのです。
企業が取り組むべき在宅勤務者の健康管理策
では、具体的に企業はどのように「在宅健康経営」を実践すればよいのでしょうか。代表的なアプローチを紹介します。
1. 生活リズム支援
- 始業・終業のチェックイン/アウトを導入し、長時間労働を防止
- カレンダーやアプリを活用して「食事・休憩時間」を見える化
- 規則正しい生活リズムを習慣づける仕組みを提供
2. オンライン健康コンテンツの提供
- 管理栄養士によるオンラインセミナー(簡単に作れる栄養バランス食など)
- 肩こり・腰痛を予防するストレッチ動画配信
- メンタルケアのセルフチェックプログラム
3. 食事や栄養面での支援制度
- 食事補助(宅配弁当・野菜セット・健康食品)の導入
- 常温保存できる乾燥野菜・野菜パウダーの配布(在宅環境でも活用しやすい)
- 社員向けオンラインレシピ共有会
4. コミュニケーション強化
- 定期的な1on1ミーティングで孤立感を軽減
- 「オンラインランチ会」や健康に関する社内チャットを設け、気軽に交流できる場を作る
5. メンタルヘルス対策
- オンラインカウンセリング体制の整備
- ストレスチェックを定期実施し、早期発見・対応につなげる
- 在宅でも相談しやすい環境を構築
在宅勤務者の健康サポートに「やさい薬膳」を取り入れる
在宅勤務で増える集中力の低下、午後の眠気、冷えや肩こり、メンタル不調などの多くは、食生活や体質の乱れと密接に関係しています。そこで有効なのが「やさい薬膳」の考え方です。特別な漢方食材ではなく、日常の野菜を体質に合わせて選ぶことで、従業員が無理なくセルフケアを続けられる仕組みをつくることができます。
企業が導入できる「やさい薬膳」の施策例は次の通りです。
- やさい薬膳体質診断テストの提供:従業員がスマホで簡単に体質をチェックできる仕組みを用意し、自分に合った食材や食生活の方向性を把握できるようにする。
- 薬膳師によるチャット相談:管理栄養士や薬膳の専門家とチャットでやり取りできる環境を整備し、在宅勤務者が抱える日常的な食や体調の悩みに即時対応する。
- eラーニング動画:5〜10分程度で視聴できる短い動画を通じて、在宅勤務でも実践できる食生活の工夫や体質別の野菜活用法を学べるようにする。
このように「やさい薬膳」を組み込むことで、従業員は自宅にいながら自分に合った食事改善を実感でき、企業にとっても健康経営の強化につながります。
健康経営優良法人認定へのステップに
これらの取り組みは、単に従業員の健康を守るだけにとどまりません。国が推進する「健康経営優良法人」認定や自治体の健康経営表彰など、外部評価につながる重要な要素となります。特にテレワーク下での健康施策は、まだ多くの企業が十分に対応できていない分野であり、いち早く整備することで「先進的な企業」として高く評価されやすい領域です。
健康経営優良法人の認定基準には、従業員の健康増進施策や生活習慣病対策、メンタルヘルスへの取り組みが含まれています。そこに「在宅勤務者向けの食支援」「オンライン体質診断ややさい薬膳を活用したセルフケアの仕組み」といった独自性のある施策を組み合わせれば、評価を得やすくなるだけでなく、社内の従業員満足度向上にも直結するのではないでしょうか。
また、健康経営への取り組みは社外へのアピール効果も大きく、採用活動や企業ブランドの強化にも寄与します。近年では株主や投資家からも「従業員を大切にする会社=持続的に成長できる会社」として評価され、ESG投資の観点から注目が高まっています。つまり、健康経営は福利厚生の一環ではなく、企業の成長戦略に組み込むべき経営施策なのです。
まとめ:健康経営は「在宅対応」で進化する
テレワークは今後も不可欠な働き方として定着していくでしょう。その中で企業が従業員の健康をどう守り、どう支援するかは、経営戦略の中心課題のひとつになっています。在宅勤務による健康トラブルを「個人の自己責任」として放置するのではなく、企業が「在宅健康経営」として仕組みを整えることは、従業員の健康維持だけでなく、生産性の向上や人材定着、さらには企業の社会的評価の向上にもつながります。
特に「やさい薬膳」のように、日常の食事を通じて無理なく体調を整える考え方を組み込めば、従業員一人ひとりが自分の体質や状態を意識し、主体的に健康行動を取れるようになります。その積み重ねは、組織全体のパフォーマンス改善に直結します。
いまこそ、企業は在宅勤務時代にふさわしい健康経営の姿を描き、具体的な仕組みを実行に移すべき時です。健康を基盤とした持続可能な成長こそが、次世代の競争力を支えるカギとなるでしょう。