なすは涼性の野菜で、体にこもった余分な熱を冷ましてくれます。炎症による腫れやのぼせ感、口の渇きといった熱症状に良いと考えられており、血流を促してめぐりを整えるほか、むくみを取る働きも期待されています。暑さや湿気で食欲が落ちやすい季節に取り入れることで、体をすっきりと整えてくれると言われています。
なすの旬と品種・下ごしらえ
なすの効能をおいしく取り入れるなら、まず旬の時期と品種、下ごしらえのコツを知っておくと使いやすくなります。なすは夏を代表する野菜で、地域ごとに個性的な品種があり、肉質や水分量によって向く料理が変わります。皮のつややかな紫色も、なすならではの魅力です。
なすの旬は夏から初秋にかけて
なすが食べごろを迎えるのは6月から9月ごろの夏です。主な産地は高知・熊本・群馬などで、旬のなすはみずみずしく、皮も果肉もやわらかいのが特徴です。「秋なすは嫁に食わすな」という言葉もあり、秋口のなすはとくに味がよいとされてきました。暑さで食欲が落ちる時期にも、冷やしても温かくしても食べやすい野菜です。
賀茂なす・水なす・米なすの使い分け
なすには地域ごとに個性的な品種があり、料理に合わせて選ぶと持ち味を活かせます。
| 品種 | 特徴 | 向く料理 |
|---|
| 長なす・中長なす | もっとも一般的で皮がやわらかい | 炒め物・焼きなす・煮浸し |
| 賀茂なす(京都) | 丸くて肉質がしっかりした京野菜 | 田楽・揚げ物 |
| 水なす(大阪) | 水分が多くアクが少ない | 生食・浅漬け |
| 米なす | 大ぶりで肉厚 | ステーキ・グラタン |
京都の伝統野菜である賀茂なすは、丸い形と締まった肉質が特徴で、加熱しても煮崩れしにくいため、田楽や揚げ物にすると持ち味が引き立ちます。みずみずしい水なすは浅漬けや生食に、大ぶりの米なすはステーキやチーズ焼きにと、品種で使い分けると失敗しにくくなります。京都の京野菜の背景を知っておくと、品種選びの楽しみが広がります。
アク抜きと変色を防ぐコツ
なすは切ると切り口が変色しやすいので、変色が気になるときは、切ってすぐ水か薄い塩水に数分さらします。アクは渋みやえぐみのもとで、さらすと口当たりがよくなりますが、長く浸けると水っぽくなり風味も抜けるため、短時間にとどめます。皮の紫色は「ナスニン」という成分(ポリフェノールの一種)で、油でコーティングするように加熱すると色が鮮やかに残ります。色を生かしたい料理では、皮はむかずに調理するのがおすすめです。
なすのおすすめの食べ方
なすはクセが少なく、和洋中どんな料理にもなじむ万能な野菜です。油との相性を生かした定番レシピから保存のコツまで紹介します。栄養と食感を、季節の献立に取り入れてみてください。
焼きなす・煮浸しで旨みを味わう
焼きなすは、皮を香ばしく焼いてから冷やし、しょうがじょうゆでいただく夏の定番です。なす本来の甘みと香りを楽しめます。揚げびたしや煮浸しにすると、だしをよく含んでとろりとした口当たりになり、冷やしても温かくしてもおいしくいただけます。グリルやトースター、魚焼きグリルで皮が真っ黒になるまで焼くと、皮がつるりとむけて香ばしく仕上がります。急ぐときは、切れ目を入れて電子レンジで加熱しても手軽です。味がしみ込みやすいので、短時間でも味わい深く仕上がります。
油と相性のよい炒め物・麻婆なす
なすは油との相性がよく、炒めるとコクととろみが生まれます。麻婆なすや、ピーマンと合わせた味噌炒めは、ごはんが進む一品です。なすは油を吸いやすいので、吸いすぎずに仕上げるには、次の工夫がおすすめです。
- 皮や断面に少量の油をなじませてから焼く
- 塩を振って水分を出してから炒める
- 油を控えたいときは、切れ目を入れて電子レンジで加熱してから使う
フライパンで両面を焼いてからたれをからめる蒲焼き風や、チーズをのせた田楽焼きも人気です。カレーやラタトゥイユ、パスタなど洋風の料理にも、なすはよく合います。栄養素を逃さず食感を楽しめる点でも、夏の食卓で使い勝手のよい野菜です。
漬物や乾燥なすで楽しむ
水なすのように水分が多く甘い品種は、浅漬けやぬか漬けにすると素材の味が生きます。さっぱりとした箸休めになり、暑い時期にもよく合います。乾燥させたなすは、水で戻してみそ汁や煮物に使うと、うまみが凝縮して便利です。手軽に試したいときは、京都府産の乾燥賀茂なすのような乾燥品も便利です。
低温に弱いなすの保存のコツ
なすは低温と乾燥に弱く、冷やしすぎると低温障害で傷みやすくなります。新聞紙やキッチンペーパーに包んでポリ袋に入れ、冷やしすぎないよう野菜室で保存します。夏場以外なら、風通しのよい冷暗所に置いても数日もちます。使い切れないときは、焼いたり揚げたりしてから冷凍しておくと、水分を保ったまま使い回せます。乾燥や冷凍をうまく使えば、旬にたくさん手に入ったなすも、無駄なく食べきれます。
あわせて、同じく夏が旬で体の熱をやわらげるとされるきゅうりの効能やトマトの効能、ゴーヤの効能も知っておくと、夏の献立づくりの参考になります。
夏から初秋に旬を迎えるなすは、油とも相性がよく、和洋中どんな料理にも使える便利な野菜です。焼きなすや炒め物、漬物にと、その日の気分に合わせて夏の食卓に取り入れてみてください。