薬膳という言葉を聞いたことはありますか?実は、私たちの身近にある野菜や果物を使って、体質や体調に合わせた食事を摂ることで、心身を整えることができるんです。
薬膳とは、簡単に言えば「体を整える食事」のこと。中国の伝統医学である「中医学」の考え方をベースにしています。特別な食材を使うイメージがあるかもしれませんが、実はスーパーで手に入る身近な野菜でも立派な薬膳料理が作れるんですよ。
東洋医学には「未病先防(みびょうせんぼう)」という考え方があります。これは、病気になる前にケアをして未然に防ぐ、という意味で、薬膳の基本にある思想です。私自身、過労で体を壊した経験があり、そのとき初めて薬膳と出会い、”食材の効能で体を整える”という考え方に感動しました。
「もっと早く知っていれば、体調を崩す前にケアできたのに…」と心から思ったのを覚えています。
今はその思いをバネに、薬膳を通して心身を整えるサービスや啓蒙活動を続けています。
今日は、誰でも簡単に作れる薬膳レシピをご紹介します。

薬膳の基本的な考え方と体質別アプローチ
薬膳では、食材や体をさまざまな角度から見ていきます。
その中でも、食材には「体を温めるもの」と「冷やすもの」があるという考え方があります。これを「陰陽(いんよう)」と呼びます。例えば、生姜やにんにくは体を温め、きゅうりやトマトは体を冷やす性質があります。
自分の体質や今の体調に合わせて、これらの食材をバランスよく取り入れることが大切なんです。体の冷えや巡りの低下が気になる時には、温める食材を。のぼせやほてりなどが気になる時には冷やす食材を意識的に取り入れると良いでしょう。
理論だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、実践してみると意外とシンプルなんですよ。
また、薬膳では「五臓(ごぞう)」という考え方も重要です。肝・心・脾・肺・腎の五つの臓器がそれぞれ体の機能を担っていると考え、それぞれに対応する食材があります。例えば、目の疲れや肩こりには肝に効く緑色の食材が良いとされています。

薬膳の考え方は2000年以上の歴史があり、長い経験から導き出された知恵なんです。現代の栄養学では「もやしは95%が水分で栄養がほとんどない」と言われますが、薬膳では「熱を冷ます食材」として重宝されています。このように、薬膳は食材が体にどう作用するかという視点で見ているんです。
身近な野菜で作る簡単薬膳レシピ3選
さて、ここからは実際に家庭で簡単に作れる薬膳レシピをご紹介します。特別な食材は一切使わず、スーパーで手に入る身近な野菜だけで作れるものばかりですよ。
1. 疲労回復に効く「生姜と玉ねぎのスープ」
生姜と玉ねぎには体を温める効果があり、疲れた体を内側から温めてくれます。特に冷え性の方や、風邪をひきかけている時におすすめです。
【材料(2人分)】
- 生姜…1かけ(千切り)
- 玉ねぎ…1/2個(薄切り)
- 人参…1/2本(いちょう切り)
- 鶏ガラスープの素…小さじ1
- 水…2カップ
- 塩、こしょう…少々
【作り方】
- 1. 鍋に水と鶏ガラスープの素を入れて火にかけます
- 2. 沸騰したら生姜、玉ねぎ、人参を加えて弱火で10分煮ます
- 3. 塩、こしょうで味を調えたら完成
このスープは作り方も簡単で、材料も少ないのに体がポカポカしてきます。私も仕事で疲れた日の夕食に、よく作っています。
2. むくみ解消に「きゅうりとセロリの浅漬け」
むくみが気になる方や、夏バテ気味の方におすすめなのが、体を冷やす性質を持つきゅうりとセロリの浅漬けです。
【材料】
- きゅうり…1本(輪切り)
- セロリ…1/2本(斜め薄切り)
- 塩…小さじ1/2
- レモン汁…小さじ1
【作り方】
- 1. きゅうりとセロリを切って塩をまぶし、10分ほど置きます
- 2. 軽く水気を絞り、レモン汁をかけて和えたら完成
さっぱりとした味わいで、暑い夏の副菜にぴったりです。むくみが気になる日は、ぜひ試してみてください。
3. 免疫力アップに「きのことかぼちゃの炒め物」
免疫力を高めたい時や、秋から冬にかけての季節の変わり目におすすめなのが、きのことかぼちゃの炒め物です。

【材料(2人分)】
- かぼちゃ…1/8個(一口大に切る)
- しいたけ…4個(石づきを取り、薄切り)
- 舞茸…1/2パック(ほぐす)
- オリーブオイル…大さじ1
- 塩…少々
- 黒こしょう…少々
【作り方】
- 1. フライパンにオリーブオイルを熱し、かぼちゃを中火で炒めます
- 2. かぼちゃに焼き色がついたら、きのこ類を加えてさらに炒めます
- 3. 全体に火が通ったら、塩と黒こしょうで味を調えて完成
かぼちゃの甘みときのこの旨味が絶妙に合わさった一品です。きのこ類には免疫力を高める成分が含まれているので、風邪をひきやすい季節の変わり目に積極的に取り入れたい食材です。
薬膳を日常に取り入れるコツとアドバイス
薬膳を始めるのに、特別な知識や食材は必要ありません。まずは自分の体質を知り、日常の食事に少しずつ取り入れていくことが大切です。薬膳を日常に取り入れる際のポイントをいくつかご紹介します。
まず、同じ食材ばかりを食べ続けないことが大切です。体質や症状は日々変化していくため、食材も変化させていくことが必要です。また、旬の食材を意識して取り入れることも重要です。旬の食材には、その季節に必要な栄養素がたっぷり含まれています。
さらに、食材の一つ一つの効果を理解することも大切です。例えば、ネギやショウガには体を温める効果があり、風邪や冷え性に効果的です。ハッカやなつめにはストレス解消効果があります。
私が薬膳を始めた頃は、難しく考えすぎて挫折しそうになりました。でも、「完璧を目指さず、できることから少しずつ」という姿勢に切り替えてからは、無理なく続けられるようになりました。
あなたも肩の力を抜いて、楽しみながら薬膳を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?
薬膳を始める際の注意点
薬膳を始める際には、いくつか注意点もあります。
まず、体質や症状に合わない食材を摂り過ぎると、逆効果になることもあります。例えば、体を冷やす性質の強い食材を冷え性の方が大量に摂取すると、症状が悪化する可能性があります。
また、薬膳は即効性を期待するものではなく、長期的に続けることで効果が現れるものです。短期間で劇的な効果を期待せず、日常の食事の中に無理なく取り入れていくことが大切です。
さらに、重い病気や深刻な症状がある場合は、必ず医師の診察を受けてください。薬膳はあくまでも食事療法の一つであり、医療行為の代わりになるものではありません。
薬膳で心身を整える健康的な食生活を
薬膳は、東洋医学の知恵を現代の食生活に取り入れた、実践的な食事法です。特別な食材を用意する必要はなく、スーパーで手に入る身近な野菜でも、薬膳の観点から適切に選び、適切に調理することで、日々の食事がよりおいしく健康的になります。
自分の体質や体調、季節に合わせて食材を選ぶことで、未病を予防し、健康な体を維持することができるのです。私自身、薬膳と出会ってから、食事に対する考え方が大きく変わりました。「食べること」が単なる栄養補給ではなく、心身を整えるための大切な行為だと実感しています。
今回ご紹介した簡単レシピや体質別の食材選びを参考に、ぜひあなたも薬膳を日常に取り入れてみてください。きっと、心身の変化を感じることができるはずです。健康的な食生活は、一日にしてならず。今日から少しずつ、薬膳の知恵を取り入れて、心身ともに健やかな毎日を過ごしましょう。
薬膳についてもっと詳しく知りたい方は、やさい薬膳のサイトもぜひチェックしてみてください。身近な野菜で作る薬膳の知恵がたくさん詰まっていますよ。